活動テーマ「一歩ふみだす」にお寄せいただいた投稿
5月

『とべ!ちいさいプロペラき』
小風さち 作 山本忠敬 絵 福音館書店
旅に出るのが好きです。飛行機に乗って遠い国に出かけることは、特に好き。
初めての旅に出たのは、20歳の秋でした。機内までの通路を歩いていて、ふと目にしたのは傷だらけの滑走路です。幾本もの黒い筋が、重なったり離れたりしながらどこまでも続き、ところどころには深く抉られた跡も残る満身創痍の滑走路。どれほどの衝撃で飛行機が飛び立ち、あるいは着陸するのかを知らされ、心の底にずしんと響く何かを受けたことを覚えています。
以来、飛行機は特別なものになりました。
この絵本に出てくるプロペラ機は、まるで飛び立つのが私自身であるかのように感じさせてくれます。巨大なジェット機がつけた轍と、自分のそれとは比べものにならない。けれども、「げんきを おだし、プロペラくん。ひろい そらでは ぼくらの おおきさのことなど わすれてしまうよ」とジェット機に励まされ、小さなプロペラ機は滑走路に出て行くのです。
高みに向かって飛ぶことも、目指すところに行き着くことも、簡単ではありません。けれども、一歩踏み出せば開けるものがある。いくつになっても、忘れないでいたいと思います。
(松コレメンバー O)
4月

『あなたがおとなになったとき』
湯本香樹実/文 はたこうしろう/絵 講談社
2008年にアンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ~」という曲が発表された。前半は十五歳の自分が、思春期の気持ちを吐露する。次に大人になった自分が十五歳の自分へ贈ることばが綴られる曲。将来への夢と、同時に不安も抱いていた何ものでもなかった自分。その頃を思い出す一曲。
この本を手に取った時、再び10代の自分を思い出した。些細なことで傷つき、立ち止まり、ふと空を見上げる。そんな経験は誰にでもあるのでは?
「おもいがけない かなしみ/おもいがけない よろこび/人生はおもいがけないもので いっぱいの森」
そして時間が経って知る。越えられない山も、渡れない川もなかったと…。
あなたが大人になった時、「世界はすてたもんじゃない」と思ってもらえたら。そんな願いを込めてこの一冊を贈ります。
(絵本館スタッフ H子)
